2009年12月19日土曜日

逝った人に生かされて:下村誠

 先日の冷たい雨の夜、渋谷の街を歩いていた。街はクリスマスの飾りに年末ムードも高まる中で、冷たい雨も吹き飛ばさんばかり、少々バテ気味の僕にはそんな街の空騒ぎも少々辛く、何か暖かいモノでも食べようと一人ラーメン屋に入ると、不意に3年前に逝ってしまった旧友「下村誠」との思い出が押し寄せた。


音楽業界とオルタナティブの接点に立っていた下村さん

 下村誠は出会った90年代半ば頃には主に音楽ライター&インディーズプロデューサーとして、佐野元春、宮沢和史、ブルーハーツといった一線級のアーティストと仕事をしている人だった。今も彼のライター時代の著作が、佐野元春、エコーズといったアーティストとの共作として出版されている。そして僕にとっては、ステージやイベントのつくり方を一緒に動き学び、10年以上にわたってお茶の水GAIA~湯島聖堂~代々木公園と、アースガーデンが成長していく過程を身近で見守ってくれた本当にあったかい兄貴分だった。

 そんな彼と、その渋谷のラーメン屋で2度ほど一緒にご飯を食べた覚えがある。ライブハウス・クアトロにでも行く時だったろうか。いつも目を細くして、嬉しそうに美味しそうにご飯を食べる人だった。変化の激しい渋谷の街の真ん中でも昔とほとんど変わっていないお店の小さいカウンターに座っていると、隣から下村さんの元気な声が聞こえてきそうで、懐かしい思い出が僕を心地よく撫でていく。冷たい雨さえ下村さんとの想い出に好ましく思えてくるような優しいひと時だった。


自然に近い暮らしと

活動を始めたところでの訃報

 下村さんは、2000年頃から活動の比重を文筆&プロデュースから、あらためてシンガー&ミュージシャンへと移しはじめ、全国を草の根で巡るツアーをコツコツと重ねていった。「全然お金にならないけど、やっぱりやりたい事やらないと!」そう言いながら、日の出の森の埋め立て処分場問題に真剣に入れ込み、ストップロッカショのイベントにも欠かさず駆けつけてくれる彼はホントに純粋な人だった。ナナオや草の根の仲間の場にも熱心で、まだまだ人が集まらないころのアースデイやアースガーデンの代々木公園に、“こういう時こそ”とつきあってくれるのが本当にありがたくて心強かった。きっと今も健在ならば、高尾山や祝島、辺野古へと駆けめぐっていたに違いない。

 そんな下村さんだったのに、念願の自然に近い場での暮らしを長野伊那谷で深め始めた矢先、2006年12月6日に家の火事で亡くなってしまった。まだ50代に入ったばかりの突然の訃報に、やるせないばかりの年の暮れだった。

 いつも、優しく少し照れくさそうに笑い、願いを込めて振り絞るように歌う人だった。この数年、ap bank fes.との関わりの中で、Mr.Childrenの桜井さんの歌に触れると、その純粋さや自分の歌のチカラを超えて何かを届けようとする姿が、下村さんに重なって見える。歌もなにげに似ているように聞こえてくるのだ、、、。


逝った人に生かされて

 長い付き合いの、

 頼りになる気持ちの良い友だちを失ってしまいました。

 まだまだこの先、長く一緒に

 色々な事ができるだろうと思っていました。

 本当に残念で残念でなりません。

 今はただ、彼の冥福を祈っています。


 知人たちに流した下村さんの訃報メールの最後の一節だ。こうして久しぶりに下村さんを思い返しているとシミジミと、今も下村さんがいてくれたらと思えてならない。下村さんは逝ってしまったけれど、渋谷の街を歩く僕の中にフッと彼の暖かさが蘇るように、彼のエネルギーは僕の中に確実に生きている。

 そんな逝ってしまった人のエネルギーに生かされている自分を、暮らし走り回る日々の折々に感じる。逝ってしまった下村さんのためにこそ、彼らに生かされる自分だからこそ、精一杯に生きていく。


これを機会に、下村さんの作品に触れてもらえれば嬉しいです。

下村誠オフィシャルサイト http://page.freett.com/nattyrec/index.html

※写真は懐かしの楽市楽座@湯島聖堂2001.4月ファイナルの時のモノです。下村さんも含めて懐かしすぎてなんだかもう……(涙)

2009年12月14日月曜日

Festival☆Life:ap bank fes.飲食ワークショップ

 立ち上げ以来、オーガニック飲食ブースのコーディネートをスタートに、色々てんこ盛りで関わっているap bank fes.。継続性の中でその準備もしだいに密度が高くなり、年も明けない冬の段階で、飲食出店者の皆さんと勉強会/ワークショップをしようというコトに。
 どうなるコトやらと思っていたら、60人以上も集まってくれた上に、ワークショップ自体も熱のこもった充実のやりとり(嬉!)
 最後はちょっと早めの忘年会ノリで、持ち寄ったゴハンを食べながらの試食勉強会。みなさんプロの飲食営業者なので、持ち寄りとはいえ大充実のパーティーでもありました(嬉!×2)


festival☆Life:GAKU-MCライブ!














 ワークショップの報告ついでに、先日あったGAKUさんのライブ報告も。

 毎年、ap bank fes.の現場で何度もすれ違うGAKUさん。フェスの中でいろんな企画に体当たりで向かい合ってくれる元気な兄貴分という役回り。フェスでは欠かせない名バイプレイヤーの彼が、先日までのツアーでは当然ながら堂々の主役。

 そしてそのステージでのGAKUさんには、まるで学校の同級生のように親近感が湧く。イイ意味で“学祭のステージにいたアイツ”という感じ。もちろん演奏もライムも、学祭とは比べものにならない高いレベルだけど、根本的にそういう人間的な暖かさ、親しみやすさ、真っ直ぐな人間性がバンバンと放射され伝わってくる、なんとも気持ちのいいライブだった。

 写真は、隠し撮りではなく、ライブ中にGAKUさんのよびかけで始まった携帯撮影タイムで堂々と撮ったモノ。普通、ライブって録音撮影禁止、カメラ持ち込み禁止なんだけど、逆手に沿ってのパフォーマンスにみんな大喜び。

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そんなGAKUさんとアースガーデンのイベントが決まっています。

2010.1.31(日)Natural Highランチショー@代官山 晴れたら空に豆まいて

出演:GAKU-MC、東田トモヒロ、辻真一

こうご期待!! 情報はコチラ→ http://www.naturalhigh.jp

2009年12月12日土曜日

仕事:本2冊と新宿ベルクと

 仕事について書かなきゃいけないと、ずーっと思ってきた。だって僕たちは仕事を糧に、仕事にいちばんたくさん時間を使って、仕事を日々の大きな楽しみや悩みにして生きていくから。
 テーマとしてのいいタイトルが浮かばないな〜、と思いながら過ごしていたら、ちょうど示唆的なふたつの本とお店に再会したので、とにかく書き始めてみよう。

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「自分をいかして生きる」
 西村佳哲 著 バジリコ出版
をやっと読んだ。何回か買うつもりで近所の往来堂に行ったのだけど、そのたびに売り切れで残念。
 著者のニシさんは、僕にとっては“モノを書く”というコトの精神的な師匠として勝手に慕う兄貴分。お茶の水GAIA時代には書籍フロアーの通信に文書を書いてもらい、2年前には僕のコーディネートで、彼らの作品「風灯」にap bank fes.に参加してもらったこともある。
 前著「自分の仕事をつくる」からの“仕事探し”が、やがて“生き方探し”へと深まる様子が、内省的ながら鋭い洞察で語られる本著。本質的なことを軽やかに読ませる絶妙なバランス感とリズムがあって、のどごし良く、後味もしっかり残るおソバのよう。ただ個人的には、ややコク不足に感じた。仕事を深めれば生き方になっていき、そこに「問い」が増えていく、というのは自明のことと思えてしまう。
 でも、ニシさんらしい丁寧な本だと思う。きっと今のみんなにはこれぐらいの優しい感じがいいんだろうなぁ。売れてるようだし。

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 そういう意味で、日本一の駅の構内で、奇跡の個人経営カフェとして踏ん張り続けているお店の本
「新宿駅最後の小さなお店
 ベルク」
井野朋也 著 P-Vine BOOks
は、より“仕事的”であり刺激的でもある。日々の生業、糧を得るのに実利的、かつ元気にしてくれる本。おそらく個人店として日本有数の忙しさであるだろう、一日の来客数1500人(!!)、新宿駅中央東口から15秒(!!)のお店が、なぜ格安かつ格別のコダワリの店となったのか? いかにその日々とクオリティが維持されているか? 結局のところ仕事に近道などなく、自分の生き方と共に鍛え深め共有する道を進むしかない!! そんな感じで、ビンビンと共感しまくって読みました。 われらが「キミドリ.」もがんばらねば!!

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 そしてここが「新宿ベルク」。
 先日、新宿に行ったついでに久しぶりに寄ってみた写真。久しぶりと言っても、こんなに“寄り易い”お店は他に絶対ない驚異の立地だけど、、、(笑)。
 そしてやっぱり、ベルクのホットドッグは最高。単に良いソーセージ、良いパン、というだけでなく、そのバランスが絶妙なのだ。ビールともばっちり。そして何よりもお店に満ちているエネルギーが心地よい。あの人混みと雑踏の中で維持されているあのギリギリの心地よさ。その価値はまさに世界遺産級に貴重だと思う。シミジミと、、、。
 皆様どうぞ、良い仕事と、良い人生を、、、。


2009年12月10日木曜日

NoNature:東大のイチョウが


 この数日、早起きすると近所の東大本郷キャンパスを散歩している。冬至を控えて、一年の折り返しを感じながら遅い日の出の中を歩くのは、一年の終わりを思うこの時期にふさわしく心地よい。
 そして今、東大ではイチョウ並木が真っ黄色。街中と違って大学内は落ち葉掃除ものんびり。黄色い天井飾りと絨毯とで覆われたかのような、贅沢な光景が学内のいたるところで楽しめる。
 僕がこの10年以上住んでいる千駄木は、近隣の谷中と根津と共に「谷根千」と言われる下町地域、上野公園も近く散歩コースに事欠かないけれど、一番のお気に入りはここ。街中と隔絶されて、最高学府の歴史を感じる大輪の樹木が立ち並ぶ姿はさすがで、「森」と言いたい環境だ。そんな中には最近ブームの「1968年」のシンボル「安田講堂」もそびえている。
 一方で、日本の宇宙工学の礎となったペンシルロケットの実物が学内の芝生の上にポンと展示されていたり。最高学府の歴史と、先端研究の現場としての新しい風が同時に感じられるのも刺激的。
 築100年に迫るレンガの古い建物が建ち並ぶ一方で、時代の最先端をいく先鋭的建築の新校舎も入り交じり、まさに歴史と自然と未来が交わる「NoNature」な東大でのお散歩なのだ。

 東大の建物群については、また書こうと思っているので、続きます、、、。

2009年12月1日火曜日

EARTH@HOME:この星に暮らし続ける僕たち

この星に暮らし続ける僕たちは、
生きていく基本として多かれ少なかれ
「衣食住」とは、無縁でいられない。
食べること、寝ること、住まい装うことを軽んじれば
その人の暮らしはもちろん、
生きていくことそのものも一緒に軽くなっていく気がします。

残念ながら自分を振り返って、
上の言葉に100%胸を張ることは難しいけれど、
忙しさに負けてグルグルになれば、いつも帰るのは「暮らし」。

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 僕たちの場づくりを、いつも共にしてくれている、愛犬のナチュラル・エコロジーセレクトショップわんのはな」が、第13回日本オンラインショッピング大賞 大賞グランプリを受賞した。
 webショップの世界では、非常に大きな賞だそうで、代表の戸松さんの喜びもひとしお。

 僕自身は犬を飼ったことはないけど、いつか飼いたいとも思っているし、犬との日々こそ暮らしの中でしかありえぬものだろうと思うと、ここで紹介するに相応しいと思うのです。
 わんのはな、そして代表の戸松さんたちがコツコツと努力してきたこの10年。それは単に彼らの努力だけではなく、エコ雑貨といわれる暮らしを少しでもエコロジカルでオーガニックでまっとうなモノに、と願う仲間たちのがんばりの10年でもありました。
 今回の賞は、「わんおはな」に連なる仲間たちへの大きなエールでもあると思っています。
 おめでとうございます!!